〈鬱について〉

鬱病については原因はまだ確定はしていないようですが、脳の機能上に何らかの障害(まだ可能性の段階ですが神経伝達物質の分泌異常など)が起きているといわれています。

昔は単純に性格の問題や環境の問題に焦点が当てられがちだったかと思いますが、今では元々の性格や思考パターンにストレス環境が影響を与えて、脳に機能上の障害を与えて悪循環的に症状を悪化させると考えられています。

このため当ルームでは、投薬治療を否定しません。

心理カウンセラーはともすると心理療法に過剰な自信をもって臨み、投薬治療を全面的に否定する人もいますが、これは危険です。

とくに鬱病に限らずパニック障害や統合失調症など急性期の症状が激しい時に心理カウンセリングなどの心理療法を行うと症状が急激に悪化することもあります。

鬱病の場合、急性期に心理療法を行うことは、クライアントの方が精神をすり減らしてまさに糸がぼろぼろの状態で今まさに切れようとしているときにさらに糸を引っ張るような行為にたとえられるでしょう。

心理療法はできるかぎりクライアントの方に負担のないように無理なく行うのが基本ですが、それでもある程度の心理的負担は発生します。

それが一般的にはわずかな負担であっても、症状が悪化した状態の鬱病の方にはきわめて大きな負担になることも多いのです。

ですので、そういう場合は投薬治療や入院治療などを経由して症状が治まったときに心理療法は行われるべきなのです。

もちろん副作用や薬漬けの問題などもありますが、それらにも配慮したきちんとしたお医者さんのほうが多いと感じます。

きちんとコントロールしたことが前提で、投薬治療は有効に思います。

症状が治まった時、とくに寛解期に再発防止のために心理療法を行うのは有効です。

この時に中心に行われるのは認知行動療法が多いでしょう。

うつを再発される方は、「うつ的思考」といってもよい考え方をしがちです。

否定的だったり、悲観的だったりといったマイナス思考です。

さらに人生観や世界観といったスキーマを修正することで「うつの世界」から遠ざかるようにします。

もちろんその過程では過去の家族関係だったり、友人関係、学校や職場などでの問題、など自分にとってつらかった出来事に向き合わなければならないこともあります。

しかし、当ルームでは無理をしません。

無理をすれば必ずどこかにひずみとなって問題が出てくるからです。

じっくりとクライアントの方がご自分の心を改善していけるように様々な手法を用います。

最終的にうつ的思考から離れて、スキーマもより「うつの世界」から遠ざかることで再発のリスクは減るでしょう。

鬱病に「完治」ということはなく、「寛解」までといわれます。

「寛解」とは、再発のリスクは残るものの十分日常生活は送れるレベルの回復を意味しますが、再発を繰りかえす方とそうでない方に別れるようです。

その分岐点は、いかに「うつの世界」から遠ざかるかにあると当ルームでは考えて心理療法を行っています。

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